ROASが合わない広告運用を立て直す手順

ROASとは何か|正しい理解と計算方法

広告投資対効果のデータを分析するビジネスパーソン

ROAS(Return On Advertising Spend)は「広告費用対効果」を示す指標で、「広告経由の売上÷広告費×100%」で計算します。ROASが300%であれば、広告費1円に対して3円の売上が発生していることを意味します。CPAが「1件のコンバージョンにいくらかかったか」を示すのに対し、ROASは「広告費に対してどれだけの売上が返ってきたか」を示す指標です。

ROASが合わない(低い)状態とは、広告費に対する売上リターンが事業の利益構造に見合っていないことを意味します。ただし「ROASが何%あれば良いか」は事業モデルによって異なります。粗利率50%のサービスであればROAS 200%以上が損益分岐点、粗利率30%であればROAS 334%以上が必要です。自社の利益構造に基づいた目標ROASを設定することが最初のステップです。

ROASが低い原因は大きく分けて「売上単価が低い」「コンバージョン数が少ない」「広告費が高すぎる」の3つです。この3つのどこに問題があるかを特定し、優先度の高い課題から改善していくアプローチが効果的です。

ROAS改善の7つのステップ

ROAS改善の7つのステップの図解
ROAS改善のための広告パフォーマンスダッシュボード

ROASを改善するための体系的な手順を解説します。

第1ステップは「目標ROASの設定」です。自社の粗利率とLTVを基に、採算の取れるROASラインを算出します。第2ステップは「コンバージョン価値の設定」で、問い合わせ1件あたりの平均売上(商談化率×平均受注額で算出)をGoogle広告に設定し、ROASの自動最適化に活用します。

第3ステップは「高ROAS商品・サービスの特定」、第4ステップは「低パフォーマンスキーワードの停止と予算再配分」、第5ステップは「LP改善によるCV率向上」、第6ステップは「入札戦略の最適化(目標ROAS入札の活用)」、第7ステップは「アトリビューション分析による貢献度の正確な把握」です。

高ROAS商材への予算集中とポートフォリオ管理

ROASを改善する最も確実な方法は、ROASの高い商材やキーワードに予算を集中させることです。多くの企業が全商材に均等に広告費を配分していますが、商材ごとのROASには大きなばらつきがあります。

まず商材別(またはサービス別)にROASを算出します。BtoBの場合、問い合わせから商談、受注までの追跡が必要になるため、CRMとの連携が理想的です。CRMがなくてもスプレッドシートで管理可能です。算出したROASをもとに、高ROAS商材には予算を増額し、低ROAS商材は改善を試みた上で改善しなければ予算を削減または停止するという判断を行います。

キーワード単位でも同様のポートフォリオ管理が有効です。コンバージョンを生んでいるキーワードの上位20%が、全体のコンバージョンの80%を生み出しているケースは珍しくありません。この「勝ちキーワード」に予算を集中させ、コンバージョンに貢献していないキーワードを整理することで、全体のROASが大幅に改善します。

コンバージョン後の売上最大化でROASを底上げする

ROASの計算式において「売上」を増やすアプローチも重要です。広告経由で獲得した顧客の平均売上を上げることで、同じ広告費でもROASは向上します。具体的には、商談時のアップセル提案、初回取引後のクロスセル、継続利用の促進がこれに当たります。

BtoBの場合、広告経由の問い合わせが全て同じ売上をもたらすわけではありません。問い合わせの質(企業規模、予算感、緊急度)によって受注率と受注額が異なります。広告のターゲティングを「質の高い問い合わせが来やすい層」に寄せることで、コンバージョン後の売上単価が向上し、ROASが改善します。

LTV(顧客生涯価値)を考慮に入れることも重要です。初回取引の売上だけでROASを判断すると、リピート率の高い優良顧客を獲得する広告キーワードが過小評価される可能性があります。初回のROASが低くても、LTVベースで見ると高ROASになるキーワードやキャンペーンを見つけることで、より正確な投資判断が可能になります。

自動入札とスマートキャンペーンの活用

Google広告の自動入札戦略「目標ROAS入札」は、設定した目標ROASを達成するようにGoogleのAIが入札額を自動調整する機能です。十分なコンバージョンデータ(過去30日間で30件以上が推奨)が蓄積されていれば、手動入札よりも効率的にROASを最適化できます。

目標ROAS入札を活用するには、コンバージョン値の正確な設定が前提です。ECサイトであれば購入金額をそのままコンバージョン値として送信しますが、BtoBの場合は問い合わせの平均顧客価値(平均受注額×商談化率)を計算してコンバージョン値に設定します。

自動入札は万能ではなく、データ量が少ない初期段階や、季節変動の大きい商材では精度が下がることがあります。最初は手動入札でデータを蓄積し、十分なコンバージョンデータが集まった段階で自動入札に移行するのが安全なアプローチです。移行後もパフォーマンスを定期的に監視し、目標ROASの設定値を調整し続けることが重要です。

CMO代行が支援するROAS改善の取り組み

ROOT SCOPEのCMO代行サービスでは、ROAS改善を広告運用の技術的改善だけでなく、事業戦略全体の中で取り組みます。目標ROASの設定、商材別ポートフォリオ分析、LP改善、CRM連携によるLTVベースの評価体制構築を包括的に支援します。「広告費をかけているが利益に結びつかない」と感じている企業は、まずROASの正確な計測体制の構築から始めましょう。

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