「Web担当を一人決めたのに、なぜか全然進まない」
中小企業の経営者から、よく聞く悩みです。専任を雇う余裕はないので、営業や広報の社員にWeb業務を兼務させた。本人もやる気はある。なのに、ホームページは更新されず、広告も中途半端、SNSも止まりがち——。
「本人のやる気の問題だろうか?」と思うかもしれません。けれど、多くの場合、原因は本人ではありません。
👉 ひとりWeb担当・兼務が回らないのは、”仕組み”の問題です。知識がない人に、一人で、片手間で、専門業務を任せれば、止まるのは当然の結果です。
本記事は、Web業務を社員に兼務させた(させようとしている)経営者の視点で、なぜ回らないのか、どうすれば機能するのかを解説します。
なぜ「ひとり兼務」は止まるのか
兼務担当が機能しない背景には、構造的な3つの理由があります。
理由①:知識ギャップ ──「何をすればいいか分からない」
Webマーケティングは、広告・SEO・SNS・解析・改善と守備範囲が広く、専門知識が要ります。営業や広報の社員に「Web、よろしく」と任せても、何から手をつけ、何を優先すればいいかの判断基準を持っていません。やる気があっても、地図がなければ動けません。
理由②:孤立 ──「相談相手が社内にいない」
兼務担当は、社内で唯一のWeb担当です。つまり、分からないことを聞ける相手がいない。上司もWebは分からない。一人で抱え込み、調べては行き詰まり、を繰り返すうちに疲弊します。
理由③:本業優先 ──「片手間では時間が取れない」
兼務である以上、本業が優先されます。営業目標に追われれば、緊急でないWeb業務は後回しになる。「重要だが緊急でない」仕事は、片手間では構造的に進みません。
👉 この3つが重なると、「担当を決めても動かない」という、よくある状態になります。本人の能力やモチベーションの問題ではなく、一人に・知識なしで・片手間で、という条件設定そのものに無理があります。
採用・兼務・外注のどれを選ぶかという全体像は中小企業にWeb担当者がいないときの現実解で整理していますが、本記事は「兼務を選んだあと」をどう機能させるかに絞ります。

ひとり担当に起きがちな3つの停滞
具体的に、兼務担当の会社では次のような停滞が起きます。
① 「とりあえず」施策の乱立
何が優先か判断できないので、目についたものから手を出す。SNSを始めてみる、ブログを書いてみる、広告を少し出してみる。一つひとつが中途半端で、どれも成果に届かないまま放置される。
② 数字を見ても動けない
GA4のレポートは見ているが、「この数字がいいのか悪いのか」が分からない。改善のサイクルが回らず、施策が積み上がりません。
③ 経営者との温度差
経営者は「成果」を期待し、担当者は「何をすれば成果が出るか分からない」まま頑張る。すれ違ったまま時間が過ぎ、お互いに不満が溜まる。
兼務を「機能させる」3つの条件
では、兼務担当を機能させるには何が必要か。鍵は3つです。
条件①:役割を「限定」する ── 全部やらせない
兼務担当に、戦略立案から実行まで全部を期待してはいけません。やることを絞るのが先決です。
- 兼務担当が担うのは「実行・社内窓口」に限定する
- 「何を優先するか」の戦略判断は、経営者または外部の専門家が担う
- 専門性の高い実務(広告運用・SEO設計など)は外注する
👉 一人に全部を背負わせず、役割を分解して配分する。これだけで担当者の負担は大きく下がります。
条件②:外部の伴走を「併用」する ── 孤立させない
兼務が止まる最大の理由は、知識ギャップと孤立でした。これを埋めるのが、外部の専門家による伴走です。
- 「何を優先すべきか」を一緒に決めてくれる
- 担当者が行き詰まったとき、相談できる相手になる
- 数字の読み方・次の打ち手を教えてくれる
社内の兼務担当が「窓口・実行」を、外部の専門家が「戦略・判断・伴走」を担う。この組み合わせが、中小企業のもっとも現実的な体制です。社員を一人にしないことが、兼務を機能させる決め手になります。
条件③:「レポート習慣」を作る ── 経営者とつなぐ
担当者と経営者の温度差を埋めるには、シンプルな共有の習慣が効きます。
- 月1回、簡単なレポート(数字+一言コメント)を作る
- 「今月やったこと・結果・来月やること」を1枚にまとめる
- それをもとに経営者と5分でも対話する
これだけで、担当者は「見てもらえている」安心感を得て、経営者は進捗を把握できます。孤立と温度差の両方が和らぎます。

体制パターン:規模別の現実解
兼務を機能させる体制を、規模感で整理します。
パターン1:とにかく手が足りない(小規模)
- 兼務担当:日常更新・社内窓口
- 外部:月数回のスポット相談で優先順位を整理
- 専門実務:必要に応じて単発外注
まずは「相談できる外部」を月1で持つだけでも、兼務担当の迷走が止まります。
パターン2:成果を本格的に求める(中規模)
- 兼務担当:実行・進行管理・社内調整
- 外部Web担当者代行:戦略立案・統括・専門実務
- 役割分担:「決める・専門実行」は外部、「動かす・つなぐ」は社内
兼務担当が外部の専門家と二人三脚で進める形。社内にナレッジも残ります。
パターン3:将来は内製したい
- 兼務担当を「育てる」前提で、外部が伴走しながら知識移転
- 一定期間後、外部の関与を減らし内製へ
兼務担当の育成を、外部の伴走でショートカットする形です。
👉 いずれのパターンも共通するのは、兼務担当を一人で放置せず、外部の頭脳と組ませるという点です。
なお、採用そのものが難しい背景についてはマーケティング担当者を採用できない中小企業の現実もあわせてご覧ください。
体制を変えると、何が変わるか(よくある変化)
兼務担当を「一人で全部」から「役割限定+外部伴走」に変えると、現場では次のような変化が起きます。
変える前
営業職の社員がWeb兼務を任され、ブログ・SNS・広告・解析を一人で抱える。何が優先か分からず、目についた施策を手当たり次第に試す。本業が忙しい月は更新が止まる。経営者は「成果が見えない」と不満を持ち、担当者は「何が正解か分からない」と消耗する。半年経っても問い合わせは増えない。
変えた後
担当者の役割を「自社の情報発信と社内調整」に限定。広告運用・SEO設計といった専門実務は外部が担当。「今月は何を優先するか」を外部との月次の対話で決める。担当者は迷わず手を動かせるようになり、本業との両立もしやすくなる。経営者は月1枚のレポートで進捗を把握でき、温度差が解消する。
👉 同じ社員・同じ予算規模でも、役割の配分と相談相手の有無だけで、動き方はここまで変わります。止まっていたのは人ではなく、仕組みだったわけです。
よくある失敗パターン
① 「担当を決めれば回る」と思い込む
人を指名しただけで、知識も時間も与えなければ動きません。役割の限定と伴走がセットです。
② 全部を一人に背負わせる
戦略も実行も窓口も一人に任せ、パンクさせる。役割の分解が必要です。
③ 放置して結果だけ求める
「任せたから」と関与せず、成果だけを問う。担当者は孤立し、温度差が広がります。
④ 研修だけ受けさせて終わり
外部セミナーに行かせて「これで大丈夫」とする。知識は単発研修では定着せず、伴走がないと実務に落ちません。
⑤ 担当者が辞めて振り出しに戻る
苦労して育てた兼務担当が退職し、ノウハウごと消える。属人化させず、外部にも軸足を置いておくべきです。引き継ぎの備えはWeb担当者が退職したら?引き継ぎと外部移行の手順を参照。
よくあるご質問
Q. やる気のある社員に任せたのに進みません。本人の問題でしょうか?
ほとんどの場合、本人の問題ではありません。知識がない人に一人で片手間で専門業務を任せれば止まるのは構造的な必然です。役割を限定し、外部の伴走を付ければ、同じ人でも動き出すことが多いです。
Q. 外部に頼むなら、兼務担当はいらないのでは?
いえ、社内の窓口・実行役は重要です。外部だけだと自社の事情が伝わりにくく、ナレッジも残りません。社内の窓口+外部の頭脳の組み合わせが、最もうまく回ります。
Q. 兼務担当を育てて、いずれ内製化できますか?
可能です。外部が伴走しながら知識を移転していけば、独学より早く育ちます。一定期間後に外部の関与を減らす設計にすれば、内製化への移行もスムーズです。
Q. 月にどのくらいの外部サポートがあれば回りますか?
規模によりますが、まずは月1回の戦略相談+随時の質問対応からでも、兼務担当の迷走は止まります。本格的に成果を求めるなら、専門実務まで担うWeb担当者代行との併用が現実的です。
Q. 兼務担当のモチベーションが下がっています。どうすれば?
多くの場合、やる気の低下は「成果が見えない」「相談相手がいない」ことの結果です。外部の伴走で優先順位が明確になり、月1のレポートで経営者に見てもらえる実感が生まれると、自然と前向きになるケースが多いです。精神論で解決しようとせず、まず仕組みを整えるのが先決です。
Q. 外部に頼む予算が今はありません。最低限できることは?
予算が厳しい場合は、まず「役割の限定」だけでも効果があります。兼務担当に全部を求めず、やることを2〜3個に絞る。そのうえで、お客様の質問を記事にするなど、社内の情報を外に出す更新から始める。外部の本格活用は、優先度の高い施策が見えてからでも遅くありません。
まとめ:一人にしない、全部やらせない
ひとりWeb担当・兼務が回らないのは、本人の問題ではなく仕組みの問題です。知識がない人に、一人で、片手間でという条件に無理があります。
機能させる鍵は、役割を限定すること、外部の伴走を併用すること、レポートで経営者とつなぐこと。要するに、兼務担当を一人にせず、全部を背負わせない——これに尽きます。
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